脳卒中とはどんな病気ですか?

脳卒中は頭の中の血管が急に詰まったり破れたりして、突然様々な症状を呈する病気です。
大きくは脳の血管が詰まる「脳梗塞」と脳の血管が破れる「脳出血」、「くも膜下出血」があります。

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の疾患図

脳卒中にはどんな症状がありますか?

脳卒中が発症した部位、年齢、基礎疾患の有無、そして何よりも脳卒中の病型(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)によって症状自体も様々です。
その中でもいずれの疾患にも共通する、「これが出たらマズイ!」という症状を示します。この症状が出たらぼーっとしていてはいけません。速攻動いてください!

  • 片方の手足、顔半分の麻痺やしびれ(手足のみ、顔のみの場合もあります)
  • 呂律が回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
  • 力は入るのに立てない、歩けない、フラフラする
  • 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分がかける
  • 経験したことのない激しい痛み
脳卒中の危険な症状イメージ図

脳梗塞とはどんな病気ですか?

脳梗塞脳梗塞は脳の動脈が詰まり、脳に血液が流れない部分が出来て、そこにある脳の細胞が死んでしまう病気です。そのため、手足、顔の麻痺や言葉の障害などが生じます。
脳細胞は血流が低下するとすぐに障害を受けてしまうため早い処置が必要です。

ラクナ梗塞
細い血管が詰まって生じる脳梗塞
アテローム血栓性脳梗塞
太い血管が動脈硬化を起こして細くなったり、詰まったりして生じる脳梗塞
脳塞栓症
主に心臓にできた血栓(血のかたまり)が流れてきて、脳の太い血管に詰まったために生じる脳梗塞

脳出血とはどんな病気ですか?

脳出血脳の中の血管が破れ、脳の内部で出血する病気です。出血した血液で脳がダメージを受け、頭痛や様々な障害が発生します。
部位と大きさにより、意識障害、運動麻痺、感覚障害などが生じ大きいと死亡原因となります。

くも膜下出血とはどんな病気ですか?

くも膜下出血多くの場合、脳の表面を走る太い血管にできた脳動脈瘤が破裂し脳を包むくも膜という膜と脳の間に出血します。

突然の激しい頭痛を生じ、意識を失うことが多くみられ、死亡する危険が非常に大きい病気です。予防には破裂する前に脳動脈瘤を処置する必要があります。

どうして脳卒中になるのですか?

血管が詰まる場合(脳梗塞)も、破れる場合(脳出血)も、動脈硬化が原因です。
動脈硬化の主な原因は生活習慣です。
脳卒中は生活習慣の乱れから発生する病気です。

動脈硬化の主な原因
  1. 高血圧症
  2. 脂質代謝異常症
  3. 糖尿病
  4. メタボリックシンドローム
  5. 喫煙
  6. 欧米化した食習慣と塩分の過剰摂取
  7. 運動不足
動脈硬化の主な原因イメージ図

ただし、例外もあります。
脳梗塞の中で脳塞栓は心房細動という心臓の不整脈が原因で、くも膜下出血は脳の動脈が変化することが原因です。

しかし、不整脈や動脈の変化も高血圧などが原因である場合も多いので、やはり生活習慣をきっちりする!
これが大事です!

どのような症状がでたら脳卒中を疑えばいいですか?

脳卒中には前兆(前触れ)があります!

脳卒中には、「一過性脳虚血発作(TIA)」といわれる前兆がみられることがあります。

一過性脳虚血発作(TIA)と脳卒中の発症率

「一過性脳虚血発作(TIA)」とは、脳の動脈に血栓(血のかたまり)の詰まりが生じ、脳卒中の症状(しびれや頭痛、視野欠損、言語機能障害など)がでながらも多くは15分以内に、長くても24時間以内に溶けて消失するものをいいます。血の流れが通常に戻ると症状も回復します。

TIA発症から3か月以内に15~20%で脳梗塞を生じます。その約半数はTIA発症から48時間以内に生じます。

TIA発症から1日以内に治療を受けると、3か月以内の大きな脳梗塞発症は約2%に減少します。

このように、TIA発症時にいかに早く対応するかが重要です。脳卒中の症状が出て、すぐに治まったとしても必ず脳神経外科を受診してください。
脳卒中予防には、生活習慣を整える日々の積み重ねと、いざという時の迅速な行動が重要です。

脳卒中かな?と思ったらどうすればいいですか

脳卒中予防には、生活習慣を整える日々の積み重ねと、いざという時の迅速な行動が重要です。
特に、「あれ?おかしいかな?」と感じたときに迷ってはいけません。

すぐに救急車を呼びましょう!

脳梗塞の場合、早ければ早いほど回復の可能性があります。

  • 発症から4.5時間以内の脳梗塞ならtPA(血栓溶解剤)が使えます。
  • 発症から8時間以内なら血栓回収療法が可能です。
  • それを過ぎても、発症から24時間以内であれば血栓回収療法が可能な場合があります。

脳梗塞は時間との勝負です。これは、脳梗塞だけでなく脳出血でも、くも膜下出血でも同じです。発症から時間が経過すれば脳組織がどんどん破壊されていきます。

「大げさにして違っていたら恥ずかしい」「間違っていたら医師から怒られるかも…」
そんな心配は不要です。おかしいと思ったら、とにかく行動してください!

TIME LOST is BRAIN LOST
(時間を失うことは脳が失われることと同じです)

必ず覚えていてください。

危険な頭痛かそうでないかはどう見分けたらいいですか?

突然の、激しい頭痛は非常に危険です!
くも膜下出血の可能性が強いです。すぐに救急車を呼びましょう。

激しい頭痛は、脳動脈瘤破裂により生じることがほとんどで、いったん出血が止まっても再破裂する危険が高いです。
再破裂は致死的ダメージとなる確率が非常に高くなります。
脳神経外科の専門病院では、早期に再破裂予防処置を行います。

この他にも、下記のような頭痛を感じたら、すぐに専門病院を受診してください。

  • いつもと違う頭痛
  • 今までにない強い頭痛
  • けいれんを伴う頭痛
  • 麻痺やしびれを伴う頭痛
  • 意識がもうろうとなる頭痛
  • いつまでも続く頭痛

脳卒中の急性期とはいつまでのことですか?

疾患によって異なりますが、全身と脳の状態が落ち着き、点滴による治療が不要になり、病状が悪化する可能性がほぼなくなるまでです。

  • 血圧、血糖値などのコントロールが良好となり安定する
  • 呼吸状態も安定し肺炎などがない
  • 意識が回復するか、意識障害が残っても安定する
  • 食事の経口摂取が可能となる
  • 離床が可能になる

疾患別に言うならば、次の状態になれば自宅退院や転院など、病態に応じた選択を行います。

くも膜下出血の場合
再破裂予防のための手術が終了し、脳血管攣縮のリスクがなくなるまで(約2~3週間)。
脳出血の場合
血圧が安定し脳内の出血が吸収され、出血周囲の脳浮腫(脳のむくみ)が軽減したころ。
脳梗塞の場合
  • 新たな脳梗塞が出現したり、脳梗塞が拡大せず、安定するまで。
  • 抗血栓薬の効果が安定し、出血などの合併症がないことが確認されるまで。
  • 検査が終了し、再発予防のためのプランが完成している。

退院か入院回復期リハビリの選択はどうやって決めたらいいですか?

急性期治療が終わって麻痺などの障害が残っている場合はリハビリが必要になります。目標とするゴールによっても異なりますが、障害を改善させ目標に向かって訓練します。

重症の方

基本的機能の障害を再獲得することを目指す。

  • 移動能力を再獲得する
  • 自分で身の回りの事を出来るようになる
  • 自分の食べたい食事が食べられるようになる
  • 人との会話がちゃんと出来るようになる

軽症の方

社会生活に復帰することを目指す。

  • 家事が出来るようになる
  • 社会活動を一人で出来るようになる
  • 職場復帰を目指す